大きな棚の上には特に目立つものは何も置かれていなかった。時計が雑に置かれていたり、郵便物が適当にのせられているだけ。
そういえば、わたしが昔両親と住んでいた家にもリビングには同じように大きな棚があった。
花瓶や写真立てが飾られていて、おっちょこちょいな母は良く花瓶ごと割っていたっけ。
こうなるって分かっているんだからプラスチックの容器にすればいいのにと思っていた。
記憶はもう定かではないけれど、写真立てに結婚式の写真があったことは覚えている。それから、わたしの幼少期からの写真も沢山飾られていた。
わたしが笑っている写真は、その中に何枚あるだろう。
年齢を重ねるに連れて母の奇行にイライラする機会は増えたし、笑うだけで何も言わない父を理解したくもないと思うようになった。
それらはどれも本人たちに言うことはないまま時はすぎてしまったけれど、もう、今更どうでも良いことである。



