「芽吹さんが言ってたシャワーは達成したからー…おれの、UFOキャッチャーとラーメンはいれてもいい?」
「え?…あ、うん」
「あ。芽吹さん、帰りの時間決まってる?」
「とくには…。叔母さんたちはわたしの帰りなんてきにしてないと思うから」
空気を重くしてしまったかなとは思わなかった。「そっか」とだけ返した星原くんにももう慣れてきている自分がいる。
昨日からずっとそうだ。星原くんはわたしの過去に対して気を使わないし、同情もしない。
遺品の話をきかせて、と踏み込んできたのが随分と遠い過去のことに思えた。
「じゃあおれ、芽吹さんとやりたいこと一個ふえたかも」
星原くんが言う。「なに?」と聞けば、「勿体ないから今はいわない」と返された。
それだけで、なんだかとてもわくわくしてしまうわたしは、どうかしてしまったのだろうか。



