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「服、大丈夫だった?」
「え、あ、…うん」
「そっか」
「あの…ごめんこんな、突然お邪魔しちゃって」
「べつにいいよ、言い出したのおれだしね」
シンプルなカラーで統一された部屋。
数十分前に居た図書室の静けさとはまた違う静けさがただよっている。家具は最低限しか置かれておらず、やけに広く感じた。
歩いて10分もかからないほどでついたこの場所は、星原くんが暮らしているというマンションだった。
シャワーを浴びたいというわたしに「じゃあおれの家寄ろうか」と彼は平然と提案したのだ。
元々、一度自分の家に帰ろうとは思っていた。
というのも、シャワーを浴びたいのはもちろんのこと、金曜日という平日に制服姿で出歩くにはリスクが伴うから着替える必要があったからである。
その旨を言えば、「服なら貸すし」とこれまた平然と言うものなので返す言葉が見つからなかった。



