首を少しだけかしげてわたしを見つめた星原くん。
ダメではないけれど、ただ不可解だった。昨日から、星原くんはわたしが予想していないことばかり言う。
「おれも、“なんか今日はもういいかなって”」
先ほどわたしが星原くんに言ったばかり言葉をなぞるようにそう言った星原くんがいたずらに笑う。からかわれているのかなんなのか、よくわからなかった。
「芽吹さん、いま一番どこに行きたい?」
「…え、なに、急に」
「いいから。おれはー…UFOキャッチャーがしたい」
「ほ、星原くん」
「芽吹さんは?ね、おれと芽吹さんのやりたいこと、今から全部やりに行こう」
何も状況が理解できていない。
星原くんは一体どういうつもりなのだろう。なにも言葉を返せずにいるわたしに、彼は「ラーメンも食べたい」と言っている。
心なしか、いつものミステリアスな雰囲気よりも、無邪気な子どもの雰囲気が強くみえた。



