わたしはべつに優等生で通っているわけじゃない。山岸さんたちに怯えてるつもりもない。

それなりに要領がいいから授業を理解できているだけだし、卒業に必要だからが毎日登校している、ただそれだけなのだ。


わたしがわたしの都合で学校をさぼったって、誰にも迷惑はかけない。



「ふうん」

「…興味無さそうだね」




星原くんは午後の授業も当たり前にあの教室で受けるのだろう。


隣にわたしがいない席で前だけ向いて授業を受けて、だれの声も平等に聞き入れる。こころの中でどんなに黒いことを思っていたとしても星原くんはきっとそれを顔に出すことはしない。



だって彼は、この世に不満がたくさんあっても、せかいへの適応力は圧倒的なのだから。


───そう、思っていた。




「じゃあおれも帰ろうかな」

「…え?」

「だめ?」