「星原くんは…いつもここにいるの?」




ふと、思いだしたように問う。


今日は約束をしていたから星原くんがすぐに教室を出て行ったことに気づいたけれど、思いかえせば隣の席になってからの1か月間、わたしが席を立つ頃にはもう星原くんはどこかへ行っていることが多かったかもしれない。


星原くんとちゃんと話すようになってまだ2日なのに、わたしの興味はどんどん彼に向いている。

それが良いのか悪いのかは、あまり考えたくはなかった。




「芽吹さんはいつもどこでお昼食べてるの?」

「え?」

「あいつらと同じ空間で美味しいご飯が食べられるわけないでしょ。教室と食堂以外のどこかで食べてるんじゃないの?」



星原くんは他人に興味がない人なのだと、たった2日話しただけではあるけれど、勝手にそう思っていた。


友達だとおもっている人はいないと言うし、せかいに不満がたくさんある。

教室という窮屈な箱の中に、星原くんのことを好きな人はきっとたくさんいるのに、彼自身は『今日もきらいだった』人たちがたくさんいるのだ。



わたしと同じように、自分以外どうでもいい世界を生きている。

だからこそ、そんな星原くんがわたしのことを見ていたことが意外だった。