何も言えなくてごめんね…か。
同情されることは決して気分がいいものではなかった。
クラスメイトは誰もわたしを助けない。そしてわたしも、助けてほしいだなんて思っていなかった。
皆、自分がこうなりたくなくて必死なのだ。
勝手に広められた噂がなくたって、星原くんの隣の席じゃなくたって、わたしはいつかこうなっていたと思う。
いじめが平然と行われている教室で同じ空気を吸うクラスメイトたちも皆、自分の立ち位置と己の無力さを実感して苦しんでいる。
そう思ったら、見て見ぬふりをするクラスメイト達に怒りが沸くことはなくなった。ただ、未来のどこかでは、例外なく全員不幸になればいいのに、とも思った。
濡れた制服を脱ぎ、トイレでジャージに着替えてかるく顔を洗い終わった頃には45分間のお昼休みはあと20分にまで減ってしまっていた。
星原くんを待たせていると思ったら申し訳なくて、購買には寄らずに図書室に向かったのだ。



