「感謝しろよ?」

「……、」

「はは、嬉しすぎて言葉もでないか。おまえ顔良いからあれだよね、水も滴るイイ女~つって」




ぐしゃり、いちごみるくの紙パックを片手でつぶした滝口くんは、「ゴミはゴミ箱に」と言ってわたしの顔に投げつけた。おでこのあたりに当たったそれは角がとがっていて地味に痛かった。



滝口くんは何事もなかったかのように仲の良い男子たちを連れて学食に行く。

山岸さんたちも散々わたしを馬鹿にして笑うと、満足したのか滝口くんたちの後に続くように教室を出て行った。



教室でご飯を食べるクラスメイトたちの同情の視線を無視して、わたしは鞄をもって立ち上がり、ロッカーに入れているジャージを取り出してトイレに向かった。


教室を出るときに、学級委員の女子生徒が「…何も言えなくてごめんなさい」と小さな声で謝ってきたので、「べつに平気だよ」と抑揚のない声で返した。