「とーわーこーちゃん」

「…あ、」

「これノートね?貸してくれてありがとー」




ぱしぱしとノートで頭を叩かれる。偏見だけど、絶対この男結婚したらそのうちDVしそうだな…と心の中で思った。


1時間目の数学の授業は、滝口くんにノートを奪われたままうけることになった。



前回の授業で習った公式などは先週のうちに覚えて理解していたので授業に支障はなかったものの、1時間目が終わってからも返してくれる素振りが見られなかったので、もうわたしのノートは返ってこないかもなとすこし思っていた。

無事返ってきたことに内心ほっとする。




しかし、そんなものは束の間のことだった。



「お礼に俺からのプレゼントー」

「…、え…」

「ゴミあさりすぎて最近ゴミ臭くなってたもんね?はい、これでいい匂い」




ぽたり、ぽたりと毛先から白みがかったピンクの液体が落ちてくる。


甘ったるい香りが不快だった。顔面を流れるそれは、昨日の放課後 ゴミ箱をあさった後の両手の感覚によく似ていた。