死ぬのが怖いだけ、本当にその通りだ。
だけど、でも。
今死んじゃったら、雨夜の星は、もう一生見ることのないままだ。
死ぬことが怖いと思う頭で考える。
これから良いことって本当にないのかな。高校に入学したらあいつらからは解放される。
あと少し、あと少しだけ耐えたら、もしかしたら今度こそ私は楽しく生きられるかもしれない。保証はない。
だったら、今死ぬのって勿体ない?
わかんない、わかんないよ。
私どうしたらいいの。
ひとりはこわい、天晴、ばあちゃん。
ねえ、私、生きてていいのかな。
顔を濡らすのが雨なのか涙なのかわからないまま、私は立ち上がった。真っ暗な空に隠れた星を希望に、私はフェンスに手をかける。
帰ろう、帰って、ばあちゃんと天晴に聞いてみよう。つらいよ、くるしいよって、手を伸ばしてみよう。
たすけて、たすけて。私、まだ、生きてたい。
雨で濡れたフェンスから手を滑らせた。私の身体は地面に向かって落ちて行った。
あーあ、私、最期まですくわれないのか。
私らしくて、すこし笑えた。



