星が見えたら生きる。見えなかったら死ぬ。



そう決めて、私はこっそり家を出た。夜中に目を覚ました天晴に見つかった時の考えて、遺書に似たメモを残した。



半分、本気で死のうと思っていたからだ。

どうせ星なんか見えないと、そう思っていたから。私がこの世界を生きる希望はもうとっくにないと、そう思っていたから。



結論から言うと、星は見えなかった。


予想通りだった。やっぱりこの世界に希望は無いなと、死のうと思って、フェンスを飛び越えた。


さようなら世界。感謝すべきことは、ここから見る星空がいちばんきれいだったことくらいだ。素敵な空を見せてくれてありがとう。

雨夜の星、見たかったな。



ぐっと一歩踏み出して、真下に広がるグラウンドを見つめる。強い雨と風に、うまくバランスが取れなくて、怖くなってしゃがみこんだ。




私、今からここから落ちるんだ。

怖いなんて今更だ。私が生きてる意味なんてない。このせかいは理不尽で、くそで、ごみだ。

ぜったいぜったい死んだほうがマシ。





───それって、ほんとうに?