そんな或る日のこと。
その日は夜にかけて雨が強くなると予報が出ていて、今日は早く帰ろうと朝の時点で決めていた。
――兄弟なのにお姉ちゃんはこんなにブスで弟はイケメンって、あんた、親の悪いとこ全部吸い取ったんじゃない?
まるで当たり前に暴力を受けて、制服を汚されたあと、憎いクラスメイトが言った。
「まあでもわかるわー、あんなにできる弟いたら、あたしが親でもあんたのこと要らないって思っちゃうもん」
「きゃはは、やめなってぇ。泣いちゃうよぉ」
「ね。ほんと、あんた生きてる意味あんの?」
罵詈雑言は言われ慣れているのに、雨で心なしか空気がどんよりしていたせいか、どうしてかいつもより言葉が深く突き刺さる。
ぐっと唇を噛み俯くと、また乱暴に蹴られた。げらげらと下品な笑い声がする。お腹が痛んだ。



