けれど、姉ちゃんもおれも両親が出会っていなかったら生まれていないし、ばあちゃんの元でも暮らせなかった。
そう思ったら人には悪い所もいいところもあるんだな、というところで落ち着くことができたので、それ以降 彼等を憎むのはやめた。
転校したくないことと、姉ちゃんを諦めたくないこと。それから、おれが通っていた小学校の屋上から見る星空が綺麗だからここに残っていたいということ。
すべてをまっすぐ伝えると、両親は『勝手にしろ』と言い、おれという存在を諦めてくれた。
それが良かったのかは分からない。
お金の面で援助は続けてくれているので、完全に縁を切ったとは言い難いし 親として最低限のことをしてくれていることにも変わりはないので、有難いとも思っている。
人間は完全には分かり合えない。
血が繋がっているからとか、昔から知っているからとか、そんなものはただの名前に過ぎないのだ。どれだけ長く時間を共にしたって分かり合えない人はいる。
おれは、それを家族を通して知った。
成長する機会をくれたことには感謝している。



