広がる青い空。きらきらと眩しい太陽。
姉ちゃんがこの病室にやってきて、もうすぐ4度目の夏が来る。
あの頃、お菓子を取り合うおれたちを見て笑っていたばあちゃんは、天国でもおれたちのことを見守ってくれていることだろう。
そっと握りしめた手のひらから、ほんのり温かい温度が伝う。それが、姉ちゃんが今日も生きている印だった。
「星原くん」
ぼんやりと窓の外 景色を見つめていたおれにそんな声がかかった。
落ち着いた声色。出会った時より冷たさが消え、柔らかく笑うようになった彼女が、「お姉さん、様子 どう?」と問うた。
「ううん。まだ寝てる」
「そっか。…まだ怖いのかな」
「かも」
ばあちゃんが死んで、両親と揉めて、学校を休学して───と、色々心身ともに忙しい時期からあっという間に月日はすぎ、おれたちは新しい夏を迎えようとしていた。