「後悔を沢山抱えて、変えられない過去を呪って、誰かを殺したいと思ってさ、自分の無力さに打ちのめされて。それでも生きててこそ得られる感情とか世界が見たくて毎日を生きるの。人ってそんなに簡単に変われない。だけど、そうやって生きるしかないから」




だからもう少しだけ、変わらないわたしたちのまま、一緒に理不尽で息苦しい世界で生きてみようよ。





「星原くん、わたし 思うんだけどね、」

「え?」

「わたし、星原くんのお姉さんは死にたかったんじゃなくて、生きる理由を探しに行ったんだって思う。生きるには、十分すぎる理由でしょ、​───雨夜の星って」





星原くんの手から、握っていた傘が滑り落ちる。強くて冷たい雨が、きみの流した涙ごと攫ってゆく。






「……おれ、芽吹さんと出会えて良かった」




うん、奇遇だね。
星原くん、わたしも本当にそう思う。




わたしたち、二人ならきっと大丈夫だよ。