「姉ちゃんは相変わらず目を覚まさなくて、両親はお見舞いにすらいかなくて。おれとばあちゃんが時々様子を見に行くくらいだったんだよ。それも多くは無いけど、おれは姉ちゃんがいつか目覚めるって信じてるし、星を見にいくのも日課だった。高校はクソみたいでつまんないなってずっと思ってたけど、芽吹さんがいるならこれから楽しくなるかもって期待もしてた」
「うん」
「けど、『ばあちゃんが死んだらもうこの街に居る必要はないだろ』ってさ。血が繋がってるの、こんなにも嫌だって思ったのは初めてだった。家族はどこまで行っても家族なんて、そんなの呪いでしかないだよ。あいつらは、自分たちの立場が守れるならなんでもいいんだ、昔から」
「うん…」
「姉ちゃんが生きてようが死んでようがどうでもいいんだってさ。『私たちにはおう天晴しかいないのよ』って、簡単に実の娘を殺せちゃうような人たちが親なんて認めたくもない…、」
どうして今日は雨なのだろう。せめて空が晴れていたら、あの綺麗な星原の下だったなら。
わたしと来るときはいつも当たりだと以前星原くんが言ってくれたのに、今日はひどい雨だ。激しい雨音に、星原くんの声もところどころ聞きづらい。
空も泣いているのだろうか。星原くんのこころみたいに、この空も悲しいと思っているのかもしれない。



