「…ばあちゃん、死んじゃったんだ」
「ちょうど半年のことなんだけどね」と付け足した星原くんに小さく相槌を打つ。
小宮先生から聞いたばかりの話だったけれど、そのことは言わなかった。人の話というのは、いつだってどこかで事実が異なってしまうからだ。
最初は当たっていたかもしれない情報は、気づいた時にはひとつも当たっていない時がある。ありもしない噂というのはそうやって広まっていく。
人が噂を好み、嫌うのは、きっと誰しもがそういう経験があるからなのではないかと思う。
実際、わたしと星原くんも半年前、『付き合っている』という噂を流され事態はややこしくなった経験がある。
星原くんの話は星原くんから聞いた方がいい。
わたしは、彼の口から事実を知りたい。
「タイミングがが本当に悪かったんだ。山岸が学校に来なくなって、滝口の本音を聞いて、そのうえで芽吹さんの新しい学校生活はこれから始まるから、おれもそばに居ようってきめてた。ふたりなら怖くないって、本当にそう思ってたんだよ」



