ぽっかりと空いた隣の席に毎日淡い期待を抱いてしまうことは、いつのまにか日課になってしまった。
山岸さんと滝口くんがいない教室にはあっという間に対応できたのに、彼が隣に居ないことには対応したくなかった。
今日こそ来るかもしれない。お昼休みに、放課後に、ひょっこり顔を出して「芽吹さん」って言ってくれるかもしれない。
そう思って半年。
星原くんが学校に来なくなって、もうそんな時間が経った。
前にも一度、家庭の事情で1週間ほどいなかったときがあったから今回もそうなのかと勝手に思っていた。
けれど、半年も経てば、暗黙の了解みたいに星原くんが学校に来なくなったことをクラスメイトたちは「星原天晴は学校をやめた」と認識するようになり、次第に誰も彼がいないことに触れなくなった。
星原くん、どこにいるの、なにをしているの。
ねえ、今日もちゃんと生きてくれていますか。



