​────もし、星原くんと出会っていなかったら。




わたしはずっと真っ暗な世界を1人で生きていたのだろうか。


星原くんがどういう人だったかも知ることの無いまま、小学校の屋上に好き勝手出入りできることも知らないまま、綺麗な星空も知らないまま。


ただ適当に生きて、そのうちぽっくり死んでいたのかもしれない。




「芽吹さんと来る日、いつも当たりだ。晴れ女?」

「どうだろう。でも雨女では無いかも」

「芽吹さんといたら、毎日星見れるね」

「……そう、だね」

「この場所、芽吹さんと共有できて良かった」




わたしはもしかして、知らないうちに星原くんのことを好きになっていたのだろうか。


特別になりたかった。わたしたちは同じだと実感する度に安心して、それから嬉しくなった。


恋だったのかもしれない。

やりたいことリスト時折 彼の行動にドキドキしてしまうのも、これを恋と呼ぶからだったとしたら 頷ける。



星原くんのまっくろなところも、優しいところも、全部大事にしたかった。


わたしときみの世界だけが正義だと思いたかった。