「…、そっか。うん、わたしも、星原くんに会えて安心した」




友達という名称で一括りにはしがたい、すこしだけ不思議な関係。


星原くんといると安心する。

彼のお姉さんも言っていたように、この世界を包み込む空みたいに、そこに居てくれるだけで心強いのだ。



「あ、あともうひとつ、質問されてたっけ」

「え?」

「芽吹さんのこと、死ねなんて思わない。ちゃんと生きて、芽吹さんが心から笑える日が来たらいいなって思ってる」



勢いのままにした質問ひとつひとつに、星原くんは回答をくれた。




「もうさ、明日から クラスでも見て見ぬふりするのやめる」

「…、無理はしないで」

「や、芽吹さんこそ。なんかされたら全部おれのせいにしていいよ。芽吹さんの事情に首突っ込んだのはおれなんだし。ちゃんと責任はとる」

「…けど…、」

「芽吹さんはおれといるの嫌?」

「、その聞き方はずるい」

「はは、ごめんね。おれがさ、芽吹さんといたいんだ」




星原くんと居る時間は楽しい。何も気にしなくていいし、めんどくさいこともなにもない。同じ世界を生きている、同じ価値観を持っている。


そんな人が一人でもいるだけで、生きる意味に繋がるのかもしれない。星原くんと出会ったことで、漠然とそんなことを思うようになった。



───ちゃんと生きて、心から笑える日が来たら。



その時は、星原くんが隣に居てくれたらいいな。

そう思ったことは、恥ずかしいので言わないでおくことにする。