ビニール傘を差し出したら、結婚を申し込まれました。



「一緒に過ごせるといいなって思って。でもちょっ提案があるんだけど」

「提案?」

「24日と25日で夏怜ちゃんの地元へ小旅行っていうのどう?」

「え……」


 思いがけない提案に、私は眉をひそめる。


「ハルさんが私の地元に来るってことですか?」

「そう。僕はその二日間しかいられないけど、夏怜ちゃんはそのままお正月まで実家で過ごしたらちょうどいいんじゃない?」

「まあ、ちょうどいいと言えばちょうどいいかも……。でもどうして?小旅行って言っても別に面白いものありませんよ、うちの地元」

「いいの。純粋に夏怜ちゃんが生まれ育った場所を見てみたいから。あと……ご家族に挨拶したい」


 ご家族に挨拶……。ハルさんの言葉を頭で繰り返す。
 まさか「お嬢さんを僕にください」というやつだろうか。いや、それはさすがに気が早いか。

 だが確かに、ハルさんが一緒に来てくれたら、今の状況を説明しやすいかもしれない。私はそう思い至ってうなずく。


「わかりました、そうします。じゃあ24日に帰るって連絡しておきます。その日はうちに泊まりますか?」

「魅力的なお誘いだけど、そんな迷惑はかけないよ。僕の方は適当にホテルでも取ることにする」

「えっ……。言っちゃなんですけど、あの田舎にあるホテルって駅前のビジネスホテルぐらいですよ?ハルさんが泊まれるような高級なところはないんじゃないかと……」

「いや僕だって格安のビジネスホテル使うことぐらいあるから」


 ハルさんは本気で心配する私に、そう言って苦笑したのだった。