ビニール傘を差し出したら、結婚を申し込まれました。



 黙り込んだ私に、長谷は「まあいいけど」と言った。


「何か悩みがあったら俺に相談しろよ。お前があいつのことで悩むっつーのも気に食わねえけど、友達が悩んでるのに知らん顔してらんないからな」

「えっ」


 私は長谷の言葉に思わず声が出る。


「これからも、友達?」

「……何だよ、フラれた上に友達ですらいてくれねえのかよ」

「そうじゃなくて。こういうのって、カップルにならなかったらそのまま疎遠になっちゃうのかなって思ってたから……」

「そんなもん人それぞれだろ。少なくとも俺は、これからもお前と友達でいたい」

「ありがとう……。私も、これからも友達でいて欲しい」


 良かった。安心のあまり吐息をもらす。
 長谷がこれからも友達でいてくれる。

 ずっと心配だった。もう長谷とこうやって話すこともなくなってしまうかもと一応覚悟はしていたのだ。

 長谷はニヤリと笑って付け足した。


「それにお前、俺が友達じゃなくなったら、友達ゼロじゃん」

「そんなこと……地元に帰ったらいるし」

「じゃあ大学ではゼロなんだな?てか参考までに聞くけど、地元には何人友達がいるんだ?」

「……五人ぐらい」

「まじ?」

「小学生のときに仲良くなった子が一人、中学で一人、高校で三人」

「で、大学で一人。良かったな、片手の指の数より多いじゃねえか」


 余計なお世話だ。

 だけど、長谷とこうやって馬鹿なことを言い合っていられるのが嬉しかった。