ビニール傘を差し出したら、結婚を申し込まれました。




「ちょっとは温まった?」


 確かに、意識してしまったせいで、触れられた辺りが温まった気がする。だがそんな温め方は求めていない。


「っ、ハルさんってちょっと意地悪ですよね」

「そう?好きな子には意地悪したくなる心理かな」

「小学生ですか」


 彼に触れられるのは嫌じゃないし、むしろ嬉しい。それでも、私ばかりドキドキしていっぱいいっぱいになって……というのは割に合わない気がする。



◇◆◇



 翌日の12月25日は、ハルさんと駅前のショッピングセンターで買い物をして過ごした。とりあえずクリスマスらしいことをしようかと、カフェでケーキを食べたりしているうちにあっという間に時間は過ぎていった。

 一足先に帰るハルさんを駅で見送ったときは何とも言えない寂しさがあった。いつも一緒にいることが当たり前になっていた。彼と何日も離れるのは久しぶりだ。


 その後私は、大学の課題をしたり、店の大掃除を手伝ったりしながら過ごした。

 そして大晦日。我が家では年が明ける頃に皆で年越しそばを食べることが通例なので、私は自分の部屋で本を読みながら時間を潰していた。

 年明けまであともう少しだな。時計を見てそう思ったとき、ケータイの音が鳴った。

 開くと、ハルさんから画像と『デザイン描き起こしてみたけどどうかな?』というメッセージが入っていた。
 私は画像を見て「おお」と目を見開く。そして思わず電話をかけた。

 ハルさんはワンコールで出た。


『もしもし夏怜ちゃん?すぐに既読が付いたからちょうど僕から電話しようとしてたところだったんだ』

「そうだったんですね。ハルさんは今どこですか?」

『僕も実家。親戚がたくさん集まっててね。絡み酒の人がやたら多くて逃げてきた』