「え、な、何してるの…?」

いつ起きたのだろうか、
彼が部屋から出てきていた。

「…一応、助けられた身だからお礼」

「いや、何やってるの!?」

僕の肩をガシリと掴んで叫ぶ。

何かやってはいけないことがあったのだろうか。

すると彼が焦った様子で言う。

「君、全治3ヶ月の怪我!!安静にしててって言ったよね!??」

どれだけ焦っているのだろうか、手にまで汗が滲んでいる。

これぐらいの怪我ならすぐに治るものではないのだろうか。

それにこれぐらいなら…。

「いつも、これくらいの怪我して動けてるから、平気」

僕はそう答えた。

実質親に虐待を受けていたもので、腹に穴が開くくらいなら全然平気なのだ。

しかし彼は落ち着きを取り戻せない様で、
まだ僕の肩を掴んでいる。

「こ、これくらいって…君、どんな環境で生きてきたらそうなるの!?下手したら死ぬよ!?」

そのまま彼は僕を抱き上げてさっきと同じ部屋に運ぶ。

「いい!?僕がいいって言うまで寝てる事!」

ビシッという効果音がつきそうなぐらいの速さで僕を指差してそう言う彼。

全くもう、と言わんばかりの顔をしている。

少し親近感が湧いてしまった。

ついでにちょっと言い返してみよう。

「缶ビールとカップラーメンしか食べてなさそうな君に言われたくない、君だって充分不健康な生活送ってるじゃないか」

うぐっとうめき声をあげそうな顔をする彼。

どうやら何も言い返せなくなったようで
少し可愛かった。

男性に可愛いというのもなんだか変な気もするが。

彼はしばらく黙ったあとそのまま僕をさっきの部屋に押し込んだ。

実質僕も疲れていたのでベッドに乗る。

そのまま気づいたら深い眠りについていた。