やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 あれ?

 ひょっとして迷惑だった?

 私は疑問符に不安の色を塗っていく。普段料理をしない私のお弁当なんてやっぱり食べたくないのかな、と無言でつぶやいた。

 けど、何か作ってくれって言ったのは部長のほうだし。

「部長、お昼に時間取れますよね?」

 把握している範囲で三浦部長のスケジュールを思い浮かべながら尋ねる。たぶん大丈夫だと判じる私を保証するように彼はうなずいた。

「そのくらいには会議も終わるはずだからな。大野がせっかく作ってくれたんだ、ありがたくいただくよ」
「……」

 やった。

 ほっとする私は「むしろ会議よりまゆかのお弁当を優先したい」と小声で言った彼の声を聞き逃していた。