やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 優子さん、どうするつもりかな……。

 会議用の書類の束を両手で抱えながら私は考えていた。

 今日は九時半から会議が予定されていてそのための準備をしなくてはならない。第二事業部の他の部員が会議室で資料を整える一方、私はデータを人数分プリントアウトするという役目を任されていた。これが地味に時間がかかる。そして紙束は量があると結構重い。

 エレベーターで上階に昇ると別の会議室から二人の男の人と一緒に三浦部長が出てきた。朝から会議に出席していたらしい彼は私を見つけると二言三言会話を交わして二人から離れる。二人には柔和な顔をしていたのに急にむすっとしたものに表情を変えて私に近づいてきた。

 あぁ、また何か怒られるのかな。

 三浦部長と会えて嬉しい気持ちが叱責の不安で色褪せてくる。

 きゅっと資料を持つ手に力がこもった。