やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「新村くんはああ見えて結構慎重よ。まあ、行けると判断したらガンガン攻めるけどね」
「ええっ」

 私は昨夜のことを想起する。

 彼は告白を断られていてもなお私にロックオンしていた。

 振り向いてもらえるよう頑張る、とも言っていた。

 私は優子さんをじっと見る。

「……」
「ん? なぁに?」

 ブレーキの壊れたダンプカー(だよね?)の特製は部下の新村くんにも受け継がれているのかもしれない。

 一歩後ずさろうとして背面が壁だと思い出した。

 喉の奥がきゅうっと違和感に満ちて言葉がせり上がってくる。彼女にもはっきり告げるべきだと思った。うやむやのまま放っておいてこれ以上引っかき回されたくない。

 でも、優子さんの気分を害さないように言わないと。