やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「レストランを出てから夜景のきれいな場所でムードを盛り上げて、ついでにまーちゃんを抱き締めて、可能なら唇も奪って、勢いのあるままその後は……ムフフ。あのあたりはちょっと足を伸ばせばラブホもあるのよね。あ、でもあれかな。新村くんまーちゃんをお持ち帰りしちゃうかな? それはそれで彼らしいけど何だかまーちゃんのイメージに合わないんだよなぁ。ほいほい男の家について行っちゃうような子に育てたつもりもないし」
「……」

 優子さん。

 私、優子さんに育ててもらった覚えはないんですけど。

 私はそっと手を優子さんの肩にかける。乱暴にならぬよう腐心しながら彼女の身体をグイと押した。

「私、ただ一緒に食べてきただけですよ」

 聞こえてなかったっぽいのでゆさゆさと肩を揺らしてみる。