やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 お弁当箱を優子さんが凝視する。

 私は恥ずかしさのあまりかぁっと赤くなった。

 数秒見つめてから彼女はポンと私の肩に手を置いた。

 小さな声で。

「ドンマイ」
「……憐れみなら要りませんから」

 どうにか返事を絞り出した。

 優子さんがうん、とうなずいて私の肩から手を離す。そのまま手は頭の上へと移動した。優しい手つきでポンポンとたたく。

「しかし珍しいねぇ、まーちゃんがお弁当を作ってくるなんて」
「べ、別にいいじゃないですか」
「いいんだけどさあ。でもあれ? 心境の変化? 好きな男でも出来た?」
「……」

 うっ、鋭い。

 この人、油断できないなぁ。

「そっかぁ、まーちゃんもようやく好きな人ができたかぁ」

 うんうんとうなずきながら優子さんは腕組みした。