やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「うーん、用ってほどじゃないんだけど」

 優子さんは中空を見遣った。

「時間が空いたから一緒にお昼でもどうかなーって」
「……」

 ワォ。

 優子さん、あなた部長の彼女ですか?

 何気に恥ずかしいセリフの割に全く恥じらいのない優子さんに私はジト目を投げる。気づいてないのか完全にスルーした優子さんはなぜか鼻をクンクンさせた。

「何だか微妙な匂いがするね」
「……」

 えーっ。

 微妙ってどういうことですか?

 優子さんが身を乗り出してお弁当の上のファイルに手を伸ばす。あっと思う間もなくファイルが取り除かれた。