やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「豚肉は今度でいいや。これで大野さんとおそろいだね」
「……」

 新村くん、ごめん。

 これ、三浦部長の分なの。

 わざわざ教えるのもあれなのでとりあえず黙っておく。

 とはいえ半分は練習用にするつもりだからその意味ではおそろいになるのかもしれない。

 私はそう思い至って愛想笑いを返した。

 持っていたパックをカゴに置き、念のためにもう一パック追加する。まともに調理するのは本当に久しぶりだし、三浦部長には失敗していないものを食べて欲しかった。

「ん? 大野さんって鶏肉好きなの?」

 意外そうな顔をした新村くんにつっこまれた。