やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 七歳の差で結婚するカップルならどこか探せば簡単に見つかりそうな気がする。二桁の開きがあるカップルだって珍しくない。

 うん。

 頑張れ私。

 鶏肉のパックを片手に私は大きくうなずいた。

「あれ、大野さん?」

 不意に横からかけられた声に私はびくりとする。

 聞き覚えのある声のほうへと振り向くとにこにことした笑顔の男性が近づいてきていた。愛想の良い表情の彼はただでさえ細い目をさらに細くして私を見つめている。

 元陸上選手でインカレで優勝したことのある彼は痩せた見た目の割に筋肉がついている。いわゆる細マッチョだ。