やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 精肉売り場は鮮魚売り場の先にあり、そこには誰もいなかった。商品もほとんど残っておらず売り物のパックの表面にはぺたりと値引きシールが貼られている。なぜか切ない印象があって私はその中の一つに手を伸ばした。

 売れ残り品の鶏肉のパックに値引きシール。

 うーん。

 私もそのうち貼られちゃうのかな?

 見え始めた三十路の三文字が切なさを上塗りしてくる。いや私はまだ大丈夫、あと一年以上あるから大丈夫と自分に言い聞かせた。

 それに三十歳を迎えたとしても女でなくなる訳ではない。

 むしろ女としてはこれからだ。

 ふと三浦部長の顔が浮かぶ。

 現在彼は三十五歳。私とは七つ違いだ。その年の差が大きいのか小さいのか私には判断しかねた。