やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 部長が周囲に目を走らせ、そっと私を抱き締めた。

 温かな彼の体温とアップテンポの心音を感じる。じろじろ見たら怒るんだろうなぁとか思いながら真っ赤になった部長の耳を想像した。

 彼の身体は大きくてその内に包まれた私はいろんなことがどうでも良くなって目を閉じる。

 うん、あったかい。それに部長の匂いだ。

「よし、速攻で仕事を片付けるぞ。まゆかとのデートが待っているんだからな。井原くんには悪いけどまゆかのためにも頑張ってもらわないと。絶対に、何が何でもまゆかとデートするぞ」
「……」

 部長、悪癖の小声が丸聞こえです。

 本当にこれ何とかしたいなぁ。

 でも、それだけ私のこと溺愛してくれてるってことなんだよね。

 ちょい引いたけど、ま、いっか。