やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 ピクンと三浦部長の眉が動く。彼は私を人睨みするとカルボナーラを上品に食べた。ただ食事をしているだけなのに絵画のように様になっているのだからイケメンはずるい。

 やがて彼は言った。

「そうだな、その、彼女はあまり料理が得意ではないようだ」
「料理下手なんですか」

 私が尋ねると彼はこくんとうなずきかけて、やめた。

 曖昧に口許を緩ませてごまかしてくる。

「君も人のこと言えないだろ」
「私は料理ができないんじゃありません。しないだけです」

 ふぅん、と三浦部長が声を漏らす。

 それが「信じられない」と言っているように聞こえて、何だか悔しくなってきて私は口を尖らせた。

 三浦部長が苦笑いを広げる。

「まあ、そんな顔をするな。誰にだって得手不得手はある」