やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 私はむうっとしながら小皿に盛られたピクルスを一つ摘まむ。ぽいっと口に放り込んでモグモグと咀嚼した。

 口内の酸っぱさをカクテルで洗い流すと少しだけ気が晴れる。でもすぐに我ながら食い意地が張っているなと余計にテンションが下がった。

 中森さんがスティックサラダに手を伸ばす。

「別れたくないのなら待ってるんじゃなくて自分から誘ったら? あんた三浦部長のスケジュールくらい把握してるんでしょ?」
「っ!」

 ワオ。

 何ということでしょう。

 私、中森さんに言われるまで全然思いつかなかったよ。

「そ、そうだね。私、部長を誘ってみる」

 言いながらスマホを取り出した。