やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 けれどやっぱり沈んでいた気分が勝って私はまたため息をついた。

 もう、と中森さん。牛ですか? そのおっきなお胸は牛なんですか?

 極道の女もレディースもメデューサも全部やめて今度は牛になるんですか?

 とはもちろん言わず。だって中森さん恐いし。

「そんなに暗くなるんだったらいっそ付き合うのやめちゃえば? 男は他にもいるでしょ? ほら、あの北沢さんとか」
「えー」
「いやあんたあの人とデートしてたじゃない。忘れたとは言わせないわよ」
「えっ、あれデートじゃないし。あんなのただのお食事だよ」
「お手々繋いでポケットにインまでしながら歩いてたじゃない。まだ証拠の動画もあるのよ、観念しなさい」
「……」

 中森さん。

 どうしてそんなやばいものとっておくかなぁ。

 消して欲しいんですけど。