やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「さっきからため息ばっかりじゃない。せっかく想い人と付き合えるようになったんだからもっと幸せそうにしなさいよ」
「えーだって」

 私は口を尖らせた。

「三浦部長、チキンカレーのお店に行ってから全然構ってくれないんだもん。そりゃ、仕事が忙しいのはわかるけど」
「だったら諦めなさい。あんたがそんなだと酒が不味くなるわ」
「中森さんは新村くんとよりを戻せそうなの?」
「いや、戻すも何もまだ別れてないし」
「……」

 中森さん。

 そろそろ現実を認めた方がいいよ?

 内心つっこみつつ私は淡い青色のカクテルを傾ける。どこかの海を連想しそうな透き通った青さのお酒は弱めの炭酸もあって爽やかな気分を誘う。