やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 ついつい前回来店したときのことを思い出してしまう私がいて、良くないとわかっていながらも三浦部長と北沢先輩と比べてしまう。

 いや、別に浮気とかじゃないよ。

 前回北沢さんと食べたから、ね?

 私が無言で誰にでもなく言い訳していると三浦部長が眉をひそめた。

「食べないのか?」
「あ、いえ。食べます食べますいただきます」

 私はカレーを三分の一くらいご飯にかけてから食べ始める。

 口の中で広がる辛さと旨みに自然と笑みが零れた。ネズミおじさんのせいでイメージ悪くなってるけどやっぱりここのチキンカレーは美味しい。

「くっ、可愛い。こんな可愛い人が僕の彼女だなんて幸せすぎる。もうこのままカレーで窒息死してもいいや」

 部長が早口で何か言ってるけど小さ過ぎて私には聞こえない。