やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない


 *

 その後少し武田常務の部屋で話をしてから私と三浦部長はお暇した。

 二人きりになると気持ちがぶり返して顔に熱が集まってくる。私は意識しないよう努めつつもちらちらと三浦部長の顔に目がいってしまっていた。

 そして、三浦部長のほうも私を意識しているようだった。

 まあ無理ないよね。

 私、あの電話で「好き」って伝えちゃったんだし。

 伝わってるんだよね?

 エレベーターの前に私が立とうとすると三浦部長の手が伸びた。私の手を引いて階段へと向かう。

「あの、部長?」
「……」

 握られた手が三浦部長の体温を感じて私をさらに熱くする。でも決して嫌ではなかった。