やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「そういえば、もうじき大野の誕生日だな」

 三浦部長が三分の二ほど食べ終えたカルボナーラの麺をフォークでくるくる回しながら訊いてきた。

「その日はどうするんだ?」
「どうするもこうするも仕事の日ですし」

 私はナスとベーコンのトマトソースパスタのベーコンにフォークを突き刺す。ここの店のは結構分厚い。以前食べたイタリアンレストランのベーコンは悲しくなるほど薄かった。味もこっちのほうが美味い。

 喫茶店なのに専門店より美味い。

 ここ当たりだ。

「いや、俺が聞きたいのは誰かと予定はないのかってことなんだが」