やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 というかどうなのこの態度。

 ……て。

 私は再度吃驚してしまった。

「ええっ、先輩が第三事業部の部長?」
「いや、北沢くんが副社長の息子とわかった時点で気づかないと」

 三浦部長に指摘されるが私はそれどころじゃない。

 てことは、ええっ?

 もしかして先輩、本社に帰って来るの?

 私の疑問に応えるように先輩が言った。

「四月からまたこちらでお世話になります。新しい部署ですがご期待に添えるよう頑張ります」

 一礼して彼は頭を上げると私にウインクした。

 どこか策略家めいた笑みを浮かべて付け足す。

「まゆか、四月からまたよろしくな」
「あ……はい」

 私は僅かに嬉しさを抱いたがそれは親しかった先輩がここへ戻って来るからだと自分に言い訳する。

 だって、私の大好きな人は三浦部長だし。

 北沢さんはただの先輩だし。