やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「まあ長男じゃなく五男だけどな。俺の三人目の妻が産んだ子供だ。でも若い頃の俺に似ていてすっげぇハンサムだろ?」
「いや、全然面影すらないんですが」

 武田常務がつっこんだ。おおっ、さすがは同期。昔の副社長のこともよくご存知で。

「つまんねぇつっこみとかするんじゃねぇよ。こういうのはスルーしろスルー」
「で、何かご用ですか」

 武田常務が北沢副社長の文句をスルーする。

 ちっ、と不快さを隠そうともせず北沢副社長が舌打ちした。彼は一つ短く呼吸すると別人のように微笑んだ。

「ちょいと速いが今度新設される第三事業部の部長にこいつが就任するから挨拶に来てやったんだ。ありがたく思え」
「……」

 わぁ、尊大。