やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 え?

 いや、だってほら副社長はタヌキだよ。

 チャラい感じのイケメンの北沢先輩と全然似てないじゃん。

 あれ?

 父親は父親でも義理の父親とか?

 あ、そっか。突然変異種か何かなんだね。道理で先輩がタヌキっぽくない訳だ。

「……おい」

 めっちゃ怖い顔で北沢副社長が私を睨んできた。

「お前さん、何だか失礼な想像してねぇか?」
「あ、えーと」

 私は苦く笑んだ。その反応は肯定ととられても仕方ないものだがやむなしである。

「こいつは間違いなく俺の息子だぞ」

 北沢副社長はポンと先輩の肩を叩いた。

 先輩が少し嫌そうに苦笑する。