やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「いずれは君を海外へとも考えているんだが……さすがにすぐにとはいかないからねぇ。何しろ君は取引先を殴ってる訳だし。処罰はなくてもペケは付くんだよ」
「それに関してはお詫びします」

 三浦部長の頭がローテーブルに触れそうなほど低くなる。

 まあいいさ、と三浦部長を宥めると武田常務が私に向いた。

「千鳥(焼き鳥屋)での話で君には期待を抱かせてしまったかもしれないが第三事業部の部長は北沢副社長の息子が就くことになった」
「そうなんですか」

 武田常務がもの凄く申し訳なさそうな顔をしているけど私は別に本気で期待とかしてなかったしなぁ。

 ま、ちょっとだけ夢は見たけど。

 それくらいは許されるよね?