やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 三浦部長が首肯する。

「はい。私には何物にも代え難い存在ですので」
「そうか」

 うんうんと武田常務がうなずき、とても満足したように唸る。

 彼はローテーブルの上の紅茶に手を伸ばした。上品に紅茶を飲む姿は高名な画家の描いた絵画のようだ。

 わぁ、今更だけど常務って美形だよなぁ。

 三浦部長もイケメンだし。何これ、ここって天国?

「まあ出世うんぬんは脇に置くとして、しばらくは三浦部長に引き続き第二事業部を率いてもらいたいと私は思っている。それはいいね?」
「もちろんです。こちらこそ宜しくお願いします」

 また三浦部長が頭を下げた。今回はさっきよりも角度が深い。