やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 耳まで熱くなっている私は見事なほど茹でだこ状態になっているはずだ。

 もういっそ壁をぶち抜いて逃げ出したい。

 しないけど。

「君にも心配させてしまったな。だが、もう大丈夫」

 小さな声で。

「僕は君の傍にいるよ」
「……」

 わぁ。

 何だか三浦部長の声がすっごく甘いんですけど。

 これ素直に受け止めてもいいのかな?

 私が三浦部長と目を合わせているとコホンと咳払いが聞こえた。

 武田常務だ。

「おいおい、二人でいい雰囲気を作らないでくれよ。そういうのは他所でやれ」
「あっ、いや。これは」
「常務、それ誤解です。私と部長はそういう関係じゃ……」

 言ってて悲しくなるけど仕方ない。