やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「正式な決定は今夜の取締役会になるが北沢副社長の画策した人事もなかったことになるだろう。あの長谷部とかいう男の不始末には呆れたがね」
「ええ、私もそれを聞いたときには酷く驚きました」

 三浦部長がうなずき、ちらと私を見る。

 とくん、と私の胸の鼓動が大きく跳ねた。彼の視線に射貫かれてあっけないくらい簡単に私の想いが溢れそうになる。

 とくとくとくとくと身体の中のリズムが速まった。それと比例するように私の体温も上がっていく。

 ううっ、恥ずかしくて辛い。

 好き、って三浦部長に伝わってるんだよね。

 わ、私なんかが三浦部長に釣り合う訳ないのに。

「大野」
「ひ、ひゃい」

 三浦部長に声をかけられた私は頓狂に返してしまった。

 ううっ、恥ずかしい。