やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない


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 ヨツビシの謝罪文の件で武田常務に呼び出されたのは夕方になってからだった。

「これで君たちも一安心だな」

 常務の部屋で私と三浦部長はソファーに並んで座っている。その向かいには武田常務。事態が良い方向に転がったことを喜んでかとても上機嫌だ。

「常務、ご心配をおかけしました」

 三浦部長が頭を下げる。その顔が少し赤らんでいるのは気のせいではないだろう。

 私も間近にいる三浦部長のことを意識していた。

 しまくっていた。

 ……これなら今朝電話を切らずにしっかり話をしておくべきだったかも。

 後悔先に立たずである。