やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「それ、ヨツビシの広報がさっき正式に発表した謝罪文。これでカドベニの脅威は無くなったはずよ」

 画面にはヨツビシのサイトが映っていた。

 硬い文体の文章にはヨツビシ工業の社員が取引先の女子社員に猥褻目的で連れ去ろうとしたこと、それにその上司が事件を揉み消そうとしていたことが記されていた。

 件の社員と上司には厳罰が下されるとも書かれている。

 私は顔を上げて中森さんを見た。

「これ、中森さんがやったんだよね?」

 言ってから自分でも間抜けな質問だったと思う。

 うん、お友達ネットワークの力なんだよね。

 でも、やっぱり怖いなぁ。

「別に大したことしてないわよ」

 涼しい顔で中森さんが紅茶を飲む。